地域とともに / プロジェクト紹介
ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社
表 和義
当プロジェクト開発の主担当者
当社が当初から事業化を検討し、開発を進めてきた中九州大仁田山風力発電所が2016年9月に完成しました。宮崎県北部の五ヶ瀬町と諸塚村の境に位置する大仁田山の稜線に単機出力2,000kWの風車8基、合計16,000kWの出力を備える宮崎県内初の大規模風力発電所です。建設地は標高1,000m〜1,200mと九州で最も標高の高い風力発電所で、遠くには阿蘇五岳を望むことができます。計画段階から環境アセスメントの過程で頂いたご意見のみならず、住民説明会等でお伺いしたご意見を計画に取り入れ、環境に優しく、地元に愛される発電所を目指して開発してきました。地元の皆様のご理解を得るために、建設開始前に既に運転している他事業者の風力発電所の見学会を実施しました。また、現場建設中も風車基礎の見学会と風車建込状況の見学会を実施しました。風車建込状況の見学会は、あいにくの風雨の中、80人を超える地元の皆様にご参加して頂きました。風が強くなり霧もでてきましたので風車建込作業は中止しましたが、暴風雨の中、工事関係者から風車建込作業の方法等の説明をして頂きました。地元の皆様も暴風の中、熱心に聞いてくださいました。そのお互いの姿勢にお互いが感動した瞬間でした。
運転開始に至るまでには様々な壁に直面しましたが、関係者のご指導ご支援のもと、ひとつずつ乗り越えてきました。
まず、開発に必要なのは土地ですが、発電所の敷地は広大なため、多くの地権者から土地をお借りします。その土地の中には共有地があり、全国に散らばっている相続権利者の同意を得るために説明しても理解して頂けずに困った時期もありました。その際に地元の方々が直接電話をかけて当社の紹介と事業内容の説明をして頂きました。このようなご支援は、知名度が高くない当社にとって本当に有難く、おかげですべての相続権利者の同意を頂くことができました。
また、本発電所は標高1,000m〜1,200mに建設するため、気象的に厳しい制約もありました。冬季(12月〜翌年2月)は地盤の凍結、降雪等により作業ができないという自然環境下で、施工会社には無事故・無災害で工事を工期内に完成して頂きました。それに大きく寄与したひとつとして、建設期間中、地元の皆様のご理解を頂き、地元で日常利用している林道を“建設期間中全面通行止め”とし、円滑に建設を進められたことでした。
更に、風車の部材を延岡新港から建設地までの 85km にわたって運搬する必要があり、そのルートの各所に運搬の難所がありました。特に、カーブの多い六峰街道(林道)では、ブレード(羽根)39mを起こして運ぶ起立式の特殊車両を使う等、運搬会社が技術や経験により工夫し、無事に届けてくれました。 この他にも、関係者の方々から様々なご指導ご支援を頂き、中九州大仁田山風力発電所は完成し、運転開始することができました。地元と共に発展したいという思いから、当社は、地元の企業との取引や地元の人材の登用を心がけて事業を進めてきました。実際、宮崎県在住の社員 4 名が現場に勤務し、発電所の運営を行っています。 大仁田山稜線にある当発電所は、当地域のランドマークとなり、山間部の風という枯渇することのない自然エネルギーを利用し、年間約 11,300 世帯の電力を供給しております。 人々の安定した暮らしと産業の発展を目指し、地元の皆様に愛される発電所として末永くクリーンなエネルギーを提供し続けていきます。 最後に、地元の皆様が中九州大仁田山風力発電所を大切に思って頂いていることに深く感謝申し上げます。
浄専寺 住職
寺本 俊文 様
宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町
この寺は地域の住民の方々に支えられ、その絆を大事にし、400 年間続いてきました。当初JRE から大仁田山に風力発電所を作る計画を聞いたときには、それ以前にも他の 2、3 の会社から同様の相談を受け計画倒れに終わっていたので、半信半疑でした。この事業は地域住民の方々の理解がないとできないと思っていたため、地域の方々に十分に説明してもらうことを JRE にもお話ししました。JRE は地域の方々に熱心に説明し、信頼関係を築き、地域の理解を得てもらったと思っています。一方、地域の事業者との取引をもっとやってほしかったという思いはあります。工事で傷んだ道路の補修を行うなど、安全管理に関しても良かったと思います。当初半信半疑だっただけに、発電所が完成し、日本の企業には技術力があってこれだけの大規模な工事ができるということ、あの細い道であれだけの大きな風車を運ぶことができたことに感動しています。JRE が見学者を受け入れ、地元のイベントや学校での発表会に参加しているのは素晴らしいことで、再生可能エネルギーについて若い人たちや一般の町民の方たちにも啓発できて良かったと思っています。再エネ普及は推進していくべきで、JRE には大きな会社になってもらい、原発がなくなるくらいまで、再生可能エネルギーを日本といわず、世界に広めていってもらいたいと思っています。
飯干神社総代
藤岡 仁志 様
宮崎県東臼杵郡諸塚村
大仁田山に風力発電所を作る計画を聞き、最初びっくりしましたが、木が生えないほど風が強い場所なので、なるほど、できればいいなと期待しました。事業について、JRE は丁寧に、登記関係や自然環境の専門スタッフも交えて詳しく説明してくれ、工事については鹿島建設が工程や専門的な内容も丁寧に説明してくれました。工事中、要望にも即座に対応してくれ、資材の運搬などで傷んだ道路は補修や舗装をしてくれるなど、至れり尽くせりでうれしかったです。ただ、工事が進んだ後に、諸塚村の業者も使ってもらえたらもっと良かったなと思いました。完成して、遠くから見たところ、青空と白い風車がマッチしてなかなか良い景色でした。さらに、杉林と新しい植林地がモザイクのようになっているモザイク林と風車も非常によくマッチングして、素晴らしいです。景観も非常に良く、しかも自然にも優しいということで、一石二鳥だと私は受け止めています。身近に他に風力発電所はなく住民や子供達も関心は高いので、JRE が見学者を快く受け入れていること、地元のイベントや学校の発表会に参加するなど活動していることには感心していますし、今後も期待しています。大型風力発電所については宮崎県で当地区が先駆けとなりましたので、JRE には大成功をおさめ、バイオマス発電を含めて、再生可能エネルギーを可能な限り日本中に広め、国民の理解を得てもらいたいです。会社の発展をお祈りしております。頑張ってください。
鹿島建設株式会社
川崎 剛志 様
施工会社の主担当者
本プロジェクトの施工を担当し、山の上という場所にタイトな日程で建設の計画が組まれており、乗り越えなければいけないことが多いと、当初思いました。掘削した土を土捨て場までダンプで 1 日 100 回以上運搬することもあり、地元の方々の生活になるべく影響がないように進めていくことに苦労しましたが、地元の方々に御協力頂けたため、ほぼ予定通りに工事を管理し、進めていけました。JRE の地元への対応全般が評価され、地域で信頼感が得られたものと思います。途中で、熊本地震や阿蘇山噴火等の不可抗力もありましたが、殆ど本件への影響がなかったことも幸いでした。再生可能エネルギーの普及はぜひやるべきことだと考えており、今後も事業者に協力し、力をつくしたいと思います。エネルギー供給の選択肢は増やすべきで、JRE にはどんどん事業をやってほしい、再エネ分野を切り開いていってほしいと思います。